アコギのここだけの話

というのも、性々にしてそれらの製品の担当マネジャーは、2つの基本的に異なっている状況において、ブランドをそれぞれきちんと差別化していないからだ。 彼らはハイロードとローロードのどちらのブランドにも同じ戦略を用い、期待に沿わぬ結果に対して常に首を傾げている。
ローロード・ブランドがやらねばならないことは、コストの削減、在庫保管単位数の絞り込み、より効率的で無駄のない生産工程のためのR&D投資である。 一方、ハイロード・ブランドにとっては、コスト削減はそれほど重要ではない。
在庫保管単位の拡張が要求され、R&Dの焦点は革新的な製品開発と融通の利く生産体制の整備に当てられるべきである。 価格志向のカテゴリーで相対的に市場シェアの小さいブランドにとって、有効な戦略を見つけることは、市場で最低限以上のシェアを確保しているブランドといえども至難の業である。
我々が「デッドエンド・ブランド」と呼ぶのは、こうした理由からだ。 このポジションでプレミアム・ブランドが十分な利益を上げることはない。
それらのROSは、通常5%未満である。 不幸にも、これらのブランド担当マネジャーは、年がら年中楽天主義者ときている。

「いまはダメだが、将来は儲けてくれる」というのが、いつもの見当違いの決まり文句だ。 実際は、終末的ブランドが儲けをもたらすことは決してありえない。
したがってマネジャーの選択肢は限られてくる。 すなわち撤退するか、政策の大転換を覚悟したうえでブランドを他のボックスへ移行させるかである。
Mのボックス間移動の方法に、大胆な値下げによってマーケット・リーダー(つまりローロード・ブランド)からシェアをもぎ取るやり方がある。 ただし、このような思い切った手法をとるには、そのブランドが内部コストを分担してもらえるP・Pの一角を占めている必要がある。
Hの缶入りキャットフード、ナインライブズは、我々が知る限り、デッドエンド・ブランドが前述の方法で起死回生を図った最良のケースの1つといえる。 一般的に、Hはコスト削減に対する厳しいスタイルでよく知られているが、Nのマネジャーは、そのコスト削減の技術を芸術的なレベルにまで高めた。
80年代にシェア競争のために何度か値下げを行い、また91年には価格戦争の悪循環を断ち切るために値上げを断行しようとしたが、うまくいかなかったため、マネジャーたちはその目を会社内部に向けた。 消費者が一缶当たりいくらなら払ってくれるかを見極めた後、彼らはその目標に向かって内部コストの削減を始めた。
8つの工場を閉鎖し、いくつかの工程を垂直統合し(いまでは自社で缶詰の缶を製造している)、サプライヤーとの提携を開始したのである。 HのNは、すでに強いブランド・エクイティを持っていたし、安価な原料も利用可能だった(たとえばツナは同社のSから調達された)。
Hが行ったことは、劇的なコスト削減であり、その結果、製品の売上げは真に好転した。 Nは、かれるだろう。
たとえば、P全体にわたってパッケージ業者を整理し、コストの削減を図れば、敵陣に進出することも可能だ。 ブランドがそれほど大きくなく、規模の経済を期待できなければ、アウトソーシングに切り替える手もある。
さもなければ、小さなブランドを集合させることでスケールメリットを享受する、通常「一連になった真珠」戦略と呼ばれる手段も考えられる。 失格ブランドから、おそらくカテゴリー内で最も利益率の高い製品へと変貌を遂げた。
それからもHは立ち止まることなく突き進んだ。 コストの削減がいったん終了した後には、続けざまにペットフード会社を買収し、そのビジネスを倍増させた。

デッドエンド・カテゴリーのボックスから抜け出すためのもう1つの方法は(きわめて難易度が高いが)、消費者の期待感を完全に塗り替えるスーパー・プレミアム製品を投入することで、カテゴリーの枠を"打ち破る"やり方だ。 たいがい、それにはカテゴリーを一新させるほどのニューブランドが必要とされる。
かつて値段の安いローカル・ブランドが中心だったアイスクリーム市場にHがスーパー・プレミアムのアイスクリームを導入したのが好例である。 先行する既存ブランドにとってすら、それまでに浸透していたブランドイメージが災いし、Hに追従することはきわめて難しかった。
コーヒー・カテゴリーの例も、この点で検討してみる価値がある。 既存の多くのメーカーが最近、混じり気なしの単一豆や、高級培煎といった差別化された製品を商品化している。
またそれらの企業は、ジャワ産とかコロンビア産といった産地を初めてブランド化しようと試みている。 興味をそそられるのは、SやC、Bなどの小売店が、変化のための"触媒″の役を果たしたことだ。
実際はそれらの小売店が、ブランドが市場へ新規参入するためのリード役を務め、消費者が製品に抱く期待感を見直させるほどの信頼感も与えた。 既存の上Fコーヒー・メーカーがそうした小売店のリードに沿うことができるか、今後の観察が求められる。
このデッドエンド・カテゴリーで犯してはならない最悪の過ちは、次に述べるような問いに対し答えることができるかどうか、制して、わずかなりともこのカテゴリーを、切り札となる製品で開拓することができるかということであるし、どちらの答えもノーならば、ブランドを売り払うか、廃止すべきである。 我々が編み出したマトリックスは、各ブランドに対してそれぞれの戦略的義務を設定するとともに、P上の製品が持つダイナミクスをより正確に理解する一助となる。

このマトリックス上にPをプロットすることで、マネジャーは、どのブランドがどの程度の成長可能性を持っているのかを見極め、ブランドごとの期待値を調整できる。 それに応じて、資源全体の配分を調整するのである。
たとえて言えば、プロダクトPを統括しているマネジャーは、デッドエンド・カテゴリーのブランドが好転すると信じて、そこにしばしば不釣り合いなR&D予算を割り振るきらいがある。 通常、その投資は無駄に終わる。
投資するなら、リターンがしっかり見込める領域に限って実施するべきだろう。 ブランド・エクイティを築くために行われる巨額のメディア支出を伴う広告キャンペーンもまた、ハイロードかヒッチハイカーのブランドのために割り振られるべきだろう。
ローロード・ブランドに対しては、出費の大半を流通と消費者向けの値引き販売促進策に制限することだ。 もちろん、もしマネジャーがカテゴリー内のダイナミクスを変え、ローロード・ブランドをハイロード・ブランドに仕立て上げようとしているのであれば、ブランド・エクイティのための投資配分にも理屈がある。
ただ、このことは疑問の余地が残る個人的判定によってなされるものであり、タイミングの問題でもある。 大切なことは、いかなるアクションについてもその意義を明確にしておき、成果の見込めない分野への資金投入の主張があればそれに反対することだ。
マネジャーたちは、ブランドのポートフォリオのあり方を検討するとき、デッドエンド・ブランドへ過大なマーケティング投資を行う誘惑に駆られる。

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